謎小説(アヤ+ユイ)
彼女は狼狽していた。
憔悴していた。
眠れなかった。
眠れなかったので、調理場に行って、水を飲んで、寝なおそうとしても寝れなくて、そういえばあいつ大ホールの床で寝てたけど大丈夫かなと思って・・・
いや、そういうわけじゃないんだよ。ただ、寝る前って、嫌なこと考えたり、どうでもいいこと思ったり、あるじゃん。暗闇だからなのか、窮屈感からなのか、とにかくそういう心理学的な何かのせいで、あいつのこと・・・いや、だからそうじゃなくて、うん、あれだ。水飲んで、主通路通るときに、大ホールちらっと見たら、暗かったからよくわからなかったけど、黒いのがちょっと見えたような・・・そして、心配になって・・・あいつのことじゃなくて、館の安全がね。敵だったら困るし。敵じゃなかったら安心して寝ればいいし。
とにかく、一応短剣を三本持って、部屋から出た。
あいつはいた。
暗闇に紛れてわかりにくいが、見えないほどでもない。隅のほうに横になって、丸まっていた。アホか。そんなに寒いなら部屋行けばいいのに。
「おーい・・・」
とりあえず、小声で呼んでみた。当然、反応はない。
「クソ執事・・・」
もとから声で起こすつもりはなかった。手を伸ばしかけて、やめた。足先でつついてみても、身じろぎひとつしない。だんだん腹が立ってきた。
「クソ野郎」
思い切り蹴ってやった。結構いい音がした。それなのに、あいつはモゾモゾ動くだけだった。腹立つ。
まぁ、こいつが気持ち悪いくらい頑丈なのは今に始まったことではないし、こいつの頭にタンコブができるよりも、さっき蹴った音で館の誰かが(たとえばmpとかmpとかmpとか)目覚めたりはしないかということが心配だった。
「ったく・・・最悪」
彼女は狼狽していた。
そうじゃない。
彼女は狼狽している。
手であいつに触れてみた。
やけに柔らかい。
やつの燕尾服はこんな質感じゃない。
・・・毛布?
誰が。
きっと、あのひとだ。
あのひとは優しいし、王女の責任もあってか、あいつに毛布をかけてやったんだろう。それだけだ。
それだけなのに。
なんで私は逃げてるんだろう。
今さら起きたあいつが、私の後ろ姿を見て何か言った。
__きっと私は、誰よりも臆病だ。
あーーー久々に文章書いたーー
恋愛要素入れる気なかったのになんか恋愛ちっくになったーーーごめんごめんご!
ちなみに「あのひと」は俺じゃないよ!